ファナック製オフラインティーチングソフトの特徴
目次
1.オフラインティーチングとは
2.ファナック製オフラインティーチングソフト ROBOGUIDE(ロボガイド)の特徴
3.ROBOGUIDE(ロボガイド)講習会について
4.まとめ
1. オフラインティーチングとは
オフラインティーチングとは「 PC上の仮想空間にロボットシステムを構成し、その仮想空間上でティーチングプログラムを作成すること 」です。
産業用ロボットとは法令上、「 マニプレータ及び記憶装置(可変シーケンス制御*¹及び固定シーケンス制御装置を含む)を有し、
記憶装置の情報に基づきマニプレータの伸縮、屈伸、上下移動、左右移動もしくは旋回の動作またはこれらの複合動作を自動的に
行うことができる機械 」とされております。
その中でも製造業においては産業用ロボットといわれると、小さいスペースに設置でき、関節を活用した複雑で広い動作範囲が取れる
人間の腕のような形の「 アーム型ロボット 」が活用されております。
ただプログラム作成においてはこのロボットは構造上、多数のジョイントとリンクで構成されている為に、
テキストのみでプログラムを作成しようとしてもかなり複雑になり不可能です。
その為、産業用ロボットに付属されているティーチングペンダントを活用して、実機のロボットを操作しプログラムを作成していく必要があります。
これは「 各種設備の位置関係が数値で正確に割り出せない場合でも現物合わせでティーチングプログラムを作成できること 」が最大のメリットですが、
デメリットとしては「 設備環境が全て用意されており、整っていなければティーチングプログラムを作成することができない 」ということです。
どういうことかと申しますと新規ライン立ち上げや新規ワークの追加の際には全体の工程表を組み、決められた納期を守れるよう進めていきます。
工程通り順調に進めば問題ないのですが、各工程の納期が遅れてしまった際、「 それでも最終納期は遅らせることはできない 」ことが多い為、
全体の最終工程であるティーチング作業で帳尻を併せなければならなくなり、高負荷な作業となってしまいます。
計画当初のスケジュール
ティーチングの作業日数は1週間予定されています。これであれば余裕をもって作業を行うことができます。
実際のスケジュール
製作作業を始めてみると、構想・設計で予定よりも1日、製作・組付けで2日、デバックで1日が追加で必要となっております。
ただ最終納品日は後ろにずらすことができないことが多く、そうすると最終工程のティーチング作業日数が削られてしまい、
1週間予定だったものが3日間作業となり、高負担な作業となってしまいます。
これはティーチング作業が設備環境が全て整っていなければ実施できない作業であるがゆえに、工程上、最後の作業となってしまうことが要因です。
これに対してオフラインティーチングは「 図面さえあれば実際の設備環境がなくともPC上でティーチングプログラムを作成できる 」ことが
最大のメリットになりますので、上記のような状態に陥ったとしてもオフラインティーチングで事前にプログラム作成しておくことで
実機でのティーチング作業日数が少なくなったとしても余裕をもった作業を行うことができます。
オフラインティーチングを活用した場合
実機ティーチングの作業日数が短縮した場合でも事前にプログラム作成を行うことができる為、余裕をもって作業ができます。
但しオフラインティーチングにもデメリットがあります。
それは「 オフラインソフト上では正確な位置にティーチングしても実機にデータをインストールした際には必ず位置ズレが発生する 」ことです。
オフラインティーチングは完全な平面の上に図面で指示された交差0の状態で製作された設備を設置して、ティーチングを行います。
しかし実際の設備はレベル出しを行うものの完全な平面というわけにはいきませんし、設備に活用される各種製缶品も交差が発生します。
これらの設備上と実機の誤差により、最低でも±1~2cmは位置ズレを起こしてしまいます。
その為、いくらオフラインティーチングを活用したとしても実機でのティーチングによる位置修正が必須となります。
*1:シーケンス制御とはあらかじめ定められた順序に従って、制御の各段階を逐次進めていく制御のこと
可変シーケンスの場合はその順序を簡単に変更できるもの。固定シーケンスはその順序を簡単に変更できないもの。
2.ファナック製オフラインティーチングソフト ROBOGUIDE(ロボガイド)の特徴
上述でお話しましたオフラインティーチングですがそれを行う為のソフトは、様々なメーカーの製品が存在します。
中でもファナック製のオフラインティーチングソフトROBOGUIDE(ロボガイド)の特徴をご説明いたします。
特徴1.ロボットの作業に応じたアプリケーション支援ツールが豊富で操作性がよい
産業用ロボットシステムは搬送・アーク溶接・スポット溶接・バリ取り・塗装作業等、多岐にわたります。
当然ではありますがその作業ごとによってロボットの動かし方やプログラムの作成方法、各種命令の入力内容等、大きく異なります。
それらを単一のアプリケーションによって作成すると操作性が悪いことも多く、必要以上に作業工数がかかってしまいます。
しかしROBOGUIDE(ロボガイド)は上記作業ごとに応じたアプリケーションを展開しておりますので、
それにより作業に応じた操作性で作業を行うことができ、他社のソフトに比べ作業時間の短縮を行うことができます。
特徴2.実機のティーチングペンダントと同一の操作でプログラム作成ができる
ROBOGUIDE(ロボガイド)ではPC画面上に実際のティーチングペンダントと同様のものを表示させ、
それによりロボットのティーチングを行うことができる機能があります。
その為、オフラインティーチングソフトの使用方法を細かく全て覚えなくても、最低限の知識で取り扱うことができます。
特徴3.ロボドリルなどのファナック製マシニングセンターを活用したシステムと親和性が高い
当然ではありますが、ロボットだけでなくロボドリルのようなファナック製製品を活用したシステムの
オフラインティーチングを行う際の親和性が高い為、設備への配置や操作なども簡単に行うことができます。
3.ROBOGUIDE(ロボガイド)講習会について
ファナック製ロボットを所有されている方の中で、上述のロボガイドを購入されている・購入される予定の方が増えております。
しかしながらこのロボガイドの操作方法を学ぶために、メーカーであるファナックの講習会に参加しようと思っても
開催回数も限られており、常に満席の状態で参加できない方も少なくありません。
そこで弊社では、少人数型のロボガイド操作講習会を開催することと致しました。
少人数での開催の為、講師と対話形式で受講することができる為、疑問をその場で解消しながら進めていくことが可能です。
又、実際の現場でロボガイドを長年活用している熟練の技術者が講師をつとめますので、より実践的な内容をお伝えいたします。
ご興味のある方はこちらから詳細をご覧ください。
4.まとめ
働き方改革による残業防止や効率的な業務遂行が必要とされる昨今においてオフラインティーチングソフトを活用することによる
業務効率化は改めて注目されております。
それらをうまく活用していくことは今後の生産設備運用において必須とされていくことになりますので、
操作方法を学ばれたいという方はお気軽にお問い合わせください。